指定難病の問題 / Problems with disease names

平成26年5月に「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が成立して平成27年1月1日から施行されました。そして、以下の4つの要素を全て満たす疾患を難病であると定義しています。
1.発病の機構(原因)が明らかでない
2.治療方法が確立していない
3.希少な疾患である(がん、精神疾患、感染症、アレルギー疾患等、個別の施策体系が確立している疾患は含まれない)
4.長期の療養を必要とする

指定難病とは、難病のうち国が定めた基準に該当する疾病を指定難病と言います。ただし、指定医による診断であっても症状や状態が国の定める基準を満たしていないときは認定されません。
1.医療費の助成対象となる疾病を「指定難病」
2.指定難病にかかる医療費を「特定医療費」
3.指定難病の治療を行う医療機関等として都道府県により指定されている医療機関等を「指定医療機関」
4.指定難病の認定を受けた方に対して指定医療機関が行う医療等を「指定特定医療」

現在、Dysferlin遺伝子変異で発症するDysferlinopathy(ディスファーリノパシー)は「難病患者に対する医療等に関する法律(難病法)」で筋ジストロフィーと遠位型ミオパチーに区分されています。その為、第4条第1項に基づいた「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」での十分な難病対策を受けることが出来ません。
「現在の指定難病(告示病名)」
1.筋ジストロフィー(肢帯型筋ジストロフィー2B / 現 肢帯型筋ジストロフィーR2)
2.遠位型ミオパチー(三好型筋ジストロフィー / Distal Myopathy with Anterior Tibial Onset )

このまま区分された状態では、正確な患者数の把握、診断基準や重症度分類等に係る臨床情報や指定難病患者データを適切に収集し指定難病患者データベースを有効活用することは不可能です。その為、全てのDysferlin遺伝子変異の患者さんを対象にした研究促進や難病対策、早期の治療法や治療薬の確立を望むことは出来ません。

「平成27年度 第1回 厚生科学審議会 疾病対策部会 議事録」 で「今度は1回目の指定疾患に入っていた30番の遠位型ミオパチーという中に三好型が入っているわけです。これは、昔、研究費をもらうときに遠位型ミオパチーという名前にしないと、難病にまとめられないということで無理に入れたという経緯もあるのですが、これは遺伝子から言っても、もともと筋ジストロフィーと同じものです。当分はこれでいいと思うのですが、遠位型ミオパチー、指定疾患一覧の111番の先天型ミオパチーと筋ジストロフィーは相当、無理に分けたというところがあるので、せっかく今度1つに入ったのなら、ある時点で同じ遺伝子の病気は1つの所に集めることも今後の検討課題としていただければと思います。以上です。」と報告されています。

即ち、遠位筋優位のミオパチーの総称である遠位型ミオパチーに筋ジストロフィーの分類になる三好型筋ジストロフィー(Dysferlin遺伝子変異で発症する筋疾患)を含めている理由には医学的な根拠は無いと言うことになります。しかし、Dysferlin欠損又はDysferlin遺伝子変異が同定されたとしても臨床病状(初期症状)にてよって遠位筋優位は三好型筋ジストロフィー(Miyoshi muscular dystrophy)、Distal Myopathy with Anterior Tibial Onset(DMAT)、近位筋優位は肢帯型筋ジストロフィーR2(旧 LGMD2B)に区分されてしまいます。その為、私たちは病名が異なるだけで以下の問題を抱えています。
1.同じ原因遺伝子で発症する筋疾患だと言うことを知らない
2.共に治療を受けることが出来ることを知らない
3.血縁関係のある兄弟姉妹でも病名が異なるケースが有る
  *医療機関が異なる場合
4.臨床試験や治験の対象者にはなれないケースが有る
  *血縁関係のある兄弟姉妹を含む
5.臨床試験や治験の対象者をスム―ズに募ることが困難
6.治療の対象者にはなれないケースが有る

私たちは、DysferlinopathyをDysferlin遺伝子変異で発症する筋疾患の統一病名として指定難病(告示病名)に認定して頂く為に活動しています。この問題の早期解決する為に、皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2014年05月21日 平成26年度 第1回 厚生科学審議会 疾病対策部会を傍聴
2014年08月07日 Dysferlinopathyの患者支援と研究への公費助成に関する要望書を提出
2014年09月09日 Dysferlinopathyの患者支援と研究への公費助成に関する要望書を提出
2015年04月24日 Dysferlinopathyの患者支援と補装具費支給制度に関する要望書を提出
2017年07月24日 Dysferlin 異常症の標準病名と指定難病に関する陳情書を提出
2017年10月27日 Dysferlinopathyの指定難病と研究費に関する質問状を提出
2018年02月05日 Dysferlinopathyの指定難病(告示病名)に関する陳情書を提出
2018年02月09日 行政文書開示請求書を提出
2018年02月15日 Dysferlinopathyの指定難病(告示病名)に関する陳情書を提出
2018年03月14日 行政文書開示決定通知書の内容を報告
2018年07月24日 Dysferlinopathyの診断基準とガイドライン作成についての陳情書を提出
2018年12月24日 標準病名にディスファーリノパシーが採用されてたとについて報告
2020年02月 吉日 厚生労働省健康局難病対策課宛に意見書と陳情書を提出
2020年02月 吉日 厚生科学審議会疾病対策部会、難病対策委員会、指定難病検討委員会宛に
            難病法における指定難病(告示病名)に関する陳情書を提出